6.真言宗の数珠の特徴や作法は?
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葬儀や法事などで見かける数珠は、弔事には必須のアイテムです。
特に真言宗では数珠を重要視しています。
ここでは数珠の起源や意味、真言宗で使う正式な数珠の意味や作法について解説いたします。
また、一般的に使われる略式念珠についてもお伝えしていきます。
6.1 数珠の起源や持つ意味とは?
数珠は、バラモン教の聖典「ヴェーダ」に出てくる毘沙門天・弁財天・梵天が持つ「連珠」が原型と言われています。
バラモン教はヒンドゥー教となり、ヒンドゥー教によって数珠で祈りの回数を数える習慣が成立していったようです。
仏教においては、流行り病が蔓延していた難陀国(なんだこく)の王様に、釈迦が「無楼子(むくろじ)の実を百八つないで作った数珠を手にして、三宝を唱えれば災いがなくなる」と説いたという伝承が残っています。
これが仏教の法具としての数珠の始まりとされているようですね。
日本に伝わったのは、飛鳥時代の仏教伝来と同時期とされています。
その後広まっていき、一般の人々にも使われるようになっていったのは、鎌倉時代以降です。
数珠は一般庶民が持つことは許されていませんでしたが、江戸時代には広く売買が認められました。
また、数珠は持っているだけで長生きして幸せになり、魔除けにもなると言われています。
108の玉は煩悩の数で、数珠を持つことで煩悩が消え功徳を積むことができるともされます。
実用的な意味では、お経を読むときの回数を数えるのに使われます。
6.2 振分念珠の意味や持ち方、作法は?
真言宗で使用する本式の数珠は「振分念珠(ふりわけねんじゅ)」と呼ばれるものです。
振分念珠は長い輪になっており、それを二重にして使用します。
玉の数は108個(主玉・おもだま)で、その他に房の付いた親玉が2個、主玉の間に少し小さめの四天玉が4個入ります。
房は菊房(梵天房とも呼ばれる)が一般的で、両側に2本ずつ計4本あり、そこに浄明玉・弟子玉・ツユ玉などもついています。
男女で玉の大きさが違うため、輪の長さも異なります。
男性は一尺二寸(36cm)または一尺三寸(39cm)、女性は八寸(24cm)を使用するのが一般的です。
それ以上の大きさのものは、お寺や修行者などが使用します。
真言宗では特に数珠を重要視しており、それぞれの玉には意味があります。
親玉は大日如来の智慧を、主玉は金剛界の百八尊を、四天玉は曼荼羅(宇宙)で大日如来を囲む四方四仏(阿弥陀如来・宝生如来・阿閦如来:あしゅくにょらい・釈迦如来または 不空成就如来)、または普賢菩薩・観音菩薩・文殊菩薩・弥勒菩薩の四菩薩を表すとしています。
持ち方は、まず両手の中指に輪を通しますが、そのとき房の部分を手の甲側に垂らすようにしてください。
そしてそのまま手を合わせて合掌します。
自分のために行をおこなうときには、房は手の内側に入れてください。
また、真言宗では玉をすり合わせて音を立てますが、これは修法の終わりを知らせる合図であると同時に、108の煩悩をすり砕くという意味を持っています。
6.3 略式念珠の場合はどうする?
略式念珠は、正式な数珠ではなく一般的に使われる数珠で、宗派を問いません。
葬儀や法事で一般の方が使っているのはだいたいこの略式念珠です。
男性用は玉の数であらわし、18~22玉が一般的です。
女性用は玉のサイズであらわし、6~8mmサイズが標準的なものとなっています。
略式では左手の親指以外にかけてそれに右手を添えるか、両手の親指以外にかけて合掌します。
房は手前に垂らしておきます。
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