葬儀で悩ましい問題に日程を決めることがあります。
僧侶の都合や火葬場の予約状況を確認して調整しなければなりません。
さらに頭をかかえるのが友引に葬儀をしてはいけないという話です。
葬儀と友引の関係って、どの程度真剣に考慮しなければいけないのでしょうか?
最近では仏滅に結婚式をあげることも多いと聞いています。
友引では絶対に葬儀はダメなのでしょうか、それとも許容範囲内なのでしょうか?
そこで、葬儀と友引の関係について詳しく説明し、友引に葬儀をしない4つの理由について分析してみます。
さらに、気になる友引に葬儀をしたら安くなるのかについても説明します!
— この記事の目次 —
1. そもそも友引って何か?
1. そもそも友引って何か?
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友引とは六曜の中の1つです。
六曜とはカレンダーなどの日付に添えられるように書かれている「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つの曜のことです。
これは一体何で、どんな意味があるのでしょうか?
まずは六曜の意味から説明していきましょう。
1ー1.友引は六曜の中のひとつでした
六曜(ろくよう、りくよう)とは、「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つの曜で構成されている暦注(れきちゅう)というものです。
六輝(ろっき)とか宿曜(すくよう)といわれることもありますが、これは天体を意味する七曜と間違われないように明治以後から使われるようになった呼び方で、現在はあまり使われていません。
暦注とは、その日の日時・方位などの吉凶や運勢などをカレンダーに書くものです。
つまり六曜とは、その日の運勢をカレンダーに書くためのものなのです。
現在は朝のワイドショーで今日の運勢のコーナーがありますし、雑誌の巻末には今月の運勢が掲載されています。
そうしたものが無かった昔の人は、カレンダーの暦注をみて一喜一憂していたようです。
起源は定かではありませんが古代の中国で占いに使用されていたものが、鎌倉時代から室町時代に日本へ伝わったとされています。
つまり中国の運勢占いのようなものが日本に輸入されて広まったというものでした。
六曜に「仏滅」という曜があるので、六曜は仏教用語のような印象を受けますが仏教とは一切関係がありません。
そもそも「仏滅」は、明治時代の初めまでは「物滅」という文字でした。
「友引」も、「共引」という文字で、「赤口」以外は全て文字が変化してしまっています。
江戸時代には、この六曜がずいぶん流行したのですが、明治時代に六曜を始めとする暦注は迷信として政府がこれらを禁止しました。
そこで六曜は消滅するはずでしたが、日本人の縁起担ぎ好きの性格にもあっていたのか根強く生き残り、第二次世界大戦後は使用禁止の規制もなくなり、再び広く暦に記載されるようになりました。
六曜は「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」で循環させますが、旧歴の月の始めの日の曜が決まっています。
1月と7月の1日は「先勝」で、2日からは「友引」から順に循環させます。
2月と8月の1日は「友引」で、2日からは「先負」から順に循環させます。
3月と9月の1日は「先負」で、2日からは「仏滅」から順に循環させます。
4月と10月の1日は「仏滅」で、2日からは「大安」から順に循環させます。
5月と11月の1日は「大安」で、2日からは「赤口」から順に循環させます。
6月と12月の1日は「赤口」で、2日からは「先勝」から順に循環させます。
この六曜の決め方を現在使用している新暦に当てはめると、ある日突然六曜の流れが変化することになります。
現代の私たちが使っているカレンダー上で突然六曜が変化することが、何か神秘的な意味合いでもあるかの如く思えてくることが六曜人気の理由の一つではないかといわれています。
1ー2.六曜の本当の意味とは?
この六曜が日本で日々の運勢を占うことに使われ、結婚式なら大安が良いとか、葬式は友引を避ける、といった縁起が良いとか悪いという考え方として定着していきました。
それでは、その六曜の意味を一つ一つ詳しく説明します。
先勝(せんしょう、せんがち、せんかち、さきがち、さきかち)
本来の六曜では「即吉」「速喜」でした。
何事も急いで行うことが良いとされる日です。
暦注としては「先んずれば即ち勝つ」と「午前中は吉、午後二時より六時までは凶」とされています。
友引(ともびき)
本来の六曜では「共引」「留引」でした。
「共引」は勝負事は何をしても勝ち負けが付かず引き分けになる日で、「留引」は現在が継続・停滞しているのかを推し量って必要な行動をする日でした。
暦注としては「勝負なき日と知るべし」と「朝は吉、昼は凶、夕は大吉」とされています。
先負(せんぶ、せんぷ、せんまけ、さきまけ、さきおい)
本来の六曜では「周吉」「小吉」でした。
万事に平静であることが良いとされる日で、勝負事や急用は避けるべき日でもあります。
暦注としては「先んずれば即ち負ける」と「午前中は凶、午後は吉」とされています。
仏滅(ぶつめつ)
本来の六曜では「虚亡」「空亡」でした。
「虚亡」や「空亡」が全てが虚しくなるという解釈から「物滅」と呼ばれるようになり、さらに「仏滅」の漢字が当てはめられて現在に至っています。
暦注としては「物滅」は「物が一旦滅び、新たに物事が始まる日」とされていますので、本来はネガティブなものではありませんでした。
その後、漢字を当てはめただけの「仏滅」となってから、仏も滅してしまうほど悪い日だという、何の根拠もないデマが広く信じられてしまっています。
大安(たいあん、だいあん)
本来の六曜では「泰安」でした。
何事においても吉となる日で、成功しないことはない日とされています。
暦注としては「大いに安し」とされています。
六曜の中で最も吉の日とされていることから、結婚式や引っ越しを始め何か物事を始めるのに選ばれる日でもあります。
赤口(しゃっこう、しゃっく、じゃっく、じゃっこう、せきぐち、あかくち)
本来の六曜でも「赤口」でした。
赤という字があるために、火の元や、血につながる刃物に気をつける日とされています。
暦注としては「万事に用いない悪日」や「午の刻のみ吉で、それ以外は凶」とされています。
陰陽道の「赤舌日(しゃくぜつにち)」という凶日に由来するという説もありますが、あまり根拠はないようです。
1ー3.友引に関するいわれ、迷信はどこから来たの?
友引に葬儀をすることは良くないというのは迷信です。
「凶事に友を引く」という間違った解釈から、友引に葬儀を行うと友が連れていかれる、つまり参列者が死ぬことになるという迷信が広まったものです。
しかしながら、友引に葬儀をしては良くないと思っている人は第一生命によると「死にまつわる迷信、習慣に関するアンケート」の結果では60.2%にもなったそうです。
実際、友引に葬儀をして故人の友人が亡くなるようなことはないと理解はされていますが、「何か良くないことが起きるようで怖い」とか「葬儀が良くないと言われている以上、何かあるのではないか?」と気にされています。
京都の清水寺の参道に三年坂という石の階段があり、そこでこけると三年以内に死ぬと言われています。
それに近い迷信のような感じです。
何故こうした迷信が信じられるようになったのか起源はハッキリしていません。
「友引」が本来の六曜では「留引」であって「ゆういん」と読むことから訓読みの「友引(ともびき)」の漢字が当てはめられたと考えられています。
さらに十二支の暦の「友曳方」が「友引」と混同されたと考えられます。
「友曳方」とは、特定の日に特定の方向で葬儀をすると友を曳くという方角のことで、日ではないのですが現在の「友引き」の迷信とかなり似ている内容です。
もう一つの説に、陰陽道の「友引日」と混同されたことが起源ではないかというものがあります。
陰陽道の「友引日」では、特定の日に特定の方向に事を行うと災いが友に及ぶとされている日のことです。
もともとの六曜の「共引」「留引」という曜も、先勝と先負の間の日ですからどちらでもない共引だったという肩透かしのような曜でしたので、その友引に「凶事に友を引く」という意味をこじつけるのは、いささかやり過ぎのような気さえしてしまいます。
三年坂でこけると三年以内に死ぬという迷信も、気をつけて登りなさいという戒めの意味が込められているのですが、どうも友引に葬儀をしてはいけないという迷信には戒めの意味さえ無いようです。
いずれにしても「友引」という漢字を当てはめて使ってしまったことが原因で、違う言い伝えと混同されたということのようです。
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